白藍塾樋口裕一の小論文・作文通信指導

第26話:作文・小論文で学力の基盤を作る


入試対策ばかりでない


 白藍塾の通信講座には、入試対策用のものとそうでないものがあります。中学入試作文コースを除いた小学生作文教室、中学生小論文ゼミ、文章術セミナーの各コースがそうでないものに属します。tokoton-26a.jpg入試対策用でない講座にあえて総称をつければ「学力基盤を作るための講座」とするのがよいでしょう。作文や小論文を定期的に書いて、自分の思いや意見をわかりやすく伝える発信力、面白いアイデアや新しい価値を生み出す創造力、現状を分析し目的や課題を明らかにする課題発見力など、学力全般の根源となる力をつけるのが学習のねらいです。


前回は入試対策用の講座をどう切り盛りしているのかをお話ししましたので、今回は、もう一方の「学力基盤を作るための講座」をどう切り盛りしているかをお話ししたいと思います。


 


入試対策をやらなくても入試には役に立つ


断っておきますが、「学力基盤を作るための講座」が入試の直接的な対策をやらないからといって入試に役に立たないわけではありません。作文をたくさん書いて築いた学力基盤は入試にももちろん通用します。


小学生、中学生の会員の中には、超難関と言われる中学校や高校に合格した人もかなりいます。彼らは白藍塾で作文・小論文を書き続けることで自然と国語力がついたので、国語の入試対策はほとんどやらずに済んだと言います。ビジネスパーソン対象の文章術セミナーには昇進試験に備えるために受講する方が結構いますが、彼らも、講座を通して身に付けた力が結局は合格の決め手になったと報告してくれます。


学力基盤が出来上がれば、試験向けに応用することは案外たやすいということでしょう。


 


学年と実力に合わせた指導


「うちの子は4月から5年生になりますが、作文が大の苦手です。1・2年生用のコースに申し込むことはできますか」


中学生小論文ゼミと文章術セミナーは、学年・実力を問わず共通課題ですが、小学生作文教室は、新1年生用、1・2年生用、3・4年生用、5・6年生用と学年別に対象コースを分けています。そのため、ときどき、このような問い合わせをもらいます。


白藍塾では基本的に対象学年の講座を勧めるようにしています。小学生教室では、何年生から受講を始めても困らないように、どのコースも初回に作文の基本をまとめたテキストをつけています。もちろん添削者は新規スタート会員か継続受講会員かを確認したうえで指導にあたります。つまり、どのコースから始めても「入門編」と呼べる指導を受けられるのです。ですので、安心して対象学年の講座から始めてほしいと考えています。


但し、親御さんと相談する中で、一つ下の学年のコースを勧めるときもあります。そのほうがお子さん自身、気楽に取り組めると判断した場合です。


ただ、下の学年のコースを受講してみたものの、思いのほかスラスラできてしまったというケースもこれまでかなりありました。その場合には、次の継続の際に、対象学年のコースに移ることを勧めています。


苦手なお子さんとは逆に、成績優秀で作文も得意なので対象学年の講座はわが子には物足りないのではないかと心配される親御さんもいます。


個別添削指導のよい点は、受講生の実力にあわせた指導をできることです。何百何千の作文を添削している当塾講師が答案を見れば、それぞれの受講生にどのレベルの指導が役立つかがわかります。初回から優れた作文を書くお子さんには、添削指導を通じて、さらに上を目指すためのアドバイスを送りますので、実力のあるお子さんでも物足りなさを感じることはないと思います。


 


遅れてもやがて追いつけるように


 講座は、ほぼ月1回のイーブンペースで進んでいきます。毎月同じペースで学習できるので、取り組みやすいかと思います。


 ただ、長く続けていれば、年齢に関係なく、予定通りに取り組めないこともときにはあるでしょう。遅れて届いても添削はしますので、頑張って提出してくれればよいのですが、もたもたしているうちに次の課題が届いてしまい、どんどんたまっていき、やがて手がつけられなくなる人もいます。当塾に限らず通信教育ではよくあるパターンです。


白藍塾では、提出が遅れた会員には、できるかぎり電話あるいはお手紙で連絡を入れるようにしています。その際、単にエールを送るだけではなく、簡単な立て直し計画も伝えるようにしています。


「今度の土曜か日曜の半日を使って取り組んでみてはいかがでしょう。そうすれば○日には添削をしてお返しします」


たったこれだけの小さな提案でも受講生は取り組みやすくなります。具体的な予定が決まることで「遅れを取り戻すにはどうしよう」という焦燥感から解放され、答案作成に気持ちを集中できるからです。


答案が遅れることは罪ではありません。でもそう考えてしまい、なかなか出せずにいる人もいます。そのような受講生に対し、講師、スタッフは、具体的な立て直し案を受講生とともに考えるように努めています。


 


ときどきイレギュラーな催しを入れる


イーブンペースで講座を進めていきながらも、ときどきイレギュラーな催しを挟みます。それが学習意欲の維持、向上につながると考えるからです。


小学生講座では年度末に「よい作文集」をまとめることが恒例になっています。「よい作文集」とは、その年度に書かれた作文から特に優れた作文を選りすぐってまとめたものです(詳しくは本連載の16話を参照してださい)。今では、この文集に掲載されることを目標に、毎回の作文づくりに励んでいるお子さんもいるほどです。


掲載される、されないは別にして、一年間いっしょに作文を勉強してきたお友達の作文に触れることで、子どもたちはあらためて作文に興味を持ちます。文集で友達のアイデア、文章テクニックに触れることで、「こんなふうにも書けるのか」と感心し、それがまた次の学習の意欲にもつながるようです。


中学生講座には、今年度から「ジュニア小論文検定」という級審査を加えました。中学生会員には中高一貫校に通う生徒も多くいるので、必ずしも高校入試を目標に小論文を勉強しているわけではありません。大学入試あるいはその先の将来まで見据えて、長期的なビジョンをもって学力の基盤作りに励んでいるのです。そこに、短期的な目標として「級」の獲得があれば、さらに学習意欲が上がるのではないかと思っています。


 継続は力なりと言う言葉は確かに正しく、「学力基盤を作るための講座」も、長く続ければ続けるほど、力は増し、盤石になります。ただ、その半面、マンネリ化に陥る恐れがないわけではありません。文集、検定という、普段の講座とは異なる方法で、学習を振り返る機会を用意すれば、気分のリフレッシュを図れるだけでなく、理解度のアップにもつながると考えています。


 


ゴールはそれぞれ


学力基盤を作る講座と入試対策講座の違いは、試験日という学習の仕上がり期限があるかないかの違いです。「ここで仕上がり!」というゴールは受講生自身が決めるのです。


小学生講座から入会し、中学、高校と続ける会員も結構います。


どんなに良い成績をおさめても「もっと面白い作文を書きたい」「もっと鋭い意見を書けるようになりたい」と思い続ければ、ゴールはずっと先まで伸ばせます。そして、そういった高い志にも応えていくことが学力基盤を作る講座の使命のように思います。


 


tokoton-26b-1.jpgtokoton-26b-2.jpgtokoton-26b-3.jpg(2011.3.6)


 


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