白藍塾樋口裕一の小論文・作文通信指導

第31話:保護者の期待に応える


アンケートに寄せられた声


白藍塾小学生作文教室では、1ターム(全5回の受講)が終わる度に、受講したお子さんとその保護者にアンケートの回答をお願いしています。アンケートには必ず「担任講師の添削指導についてどう思いましたか」という質問を入れることにしています。受講した本人と保護者の両者に、講師の添削指導を率直に評価してもらうためです。講師はその評価に一喜一憂しますが、もちろんそれだけに留めず、回答結果をしっかり分析し、次の指導に活かすようにしています。


今回は最初に、保護者アンケートに寄せられた「高評価」をずらりと紹介します。続けてそれをもとに、保護者の方が白藍塾にどんな期待を寄せているのか、その期待に応えるため、白藍塾講師陣は添削する際に何を心がけているのかをお伝えしたいと思います。


紹介する「声」は、今年度上半期に寄せられたアンケートから一部を抜粋したものです。( )内は、お子さんの学年と性別を表しています。


 

決して否定的な言葉を使わず、どんなに拙い文章でも肯定的に添削して頂けたので本人の励みになり最後までがんばって提出することができました。(小1・女子)

 


アドバイスが的確で先生の示して下さる例がとても参考になりました。また、良い所はとても具体的にほめてくださり、国語に苦手意識が強かった本人に自信を与えていただき、感謝しております。(小2・男子)

 


コメントを読んで、表情が輝いていました。他では褒められることが少ないので、相当嬉しかったようです。(小2・男子)

 


どのように書くとよいかを具体的に指導していただきました。アイデアや書き方を上手にほめてもらえ、子どものやる気が続きました。(小2・女子)

 


「こんな質問をしてもいいの?」という質問もくわしく答えていただき、感謝しています。本人も熱心に読んでいます。それで気を良くしたのか、添削のアドバイスもだいぶ流さずに考えるようになっているようです。(小3・女子)

 


学校では先生がこれだけていねいに一人一人の文章を添削することは難しいと思うので、本当に役立っていると思います。(小3・男子)


 

一歩先に押し出してくれるような、親切で、はっきりとわかりやすい添削だと思います。ただ「ダメ」「こうしたほうが良い」ではなく「この場合はこういう理由で」「こうするとこうところが良くない」など、子どもも素直に納得できる、ていねいな指導をしていただいていると思います。(小3・女子)




具体的にどのように書いたらよいのか、また、前回と比べてどのように良くなっているか、あるいは良くなかったかなど詳しく説明されていて、親の私も納得しながら添削指導を読ませていただきました。(小3・女子)


 


良い所、もう一歩の所をはっきり指摘して下さり、なおかつ子どもがガックリしてしまうような添削ではなく”次は頑張る!”と思えるような語りかけをして下さっているところが素晴らしいと感じました。(小4・女子)

 


自分の気持ちを書くことが足りないなど、注意しなければいけない点を気づかせてくれて、娘にとってとても役立つ指導だと思います。(小4・女子)

 


作文を嫌がらずに取り組めるようになりました。また、添削指導は、ついつい悪いところばかり指摘してしまう親(私)にとっても、褒めるポイントがわかり、今後の参考になります。(小5・男子)


 

毎回の丁寧なアドバイスをもとに、娘も文章の書き方を学び、次の課題に彼女なりに工夫して書いていました。(小5・女子)


 

文章を書くことへの苦手意識が薄れてきたように見受けられます。それは息子が頭の中で思ったことを整理する力が受講前よりついたからだと思います。(小5・男子)

 


作文教室受講前、学校で書く作文はお世辞にも面白いと言えるものではありませんでした。しかし、受講するにつれ、文章が変わってきました。内容も深く考えられたものになり、表現も生き生きとしてきました。文章で表現することを楽しく感じるようになったようです。(小5・女子)

 


本を読むのが大好きなのに書くことは大の苦手という情況でしたが、先生の温かいご指導のおかげで苦手意識が少し薄れてきたようです。(小5・男子) 


的確なアドバイスで「なるほど~」と思わせるようなご指摘を頂き、さすがにプロだなと感じました。(小6・男子)

 


保護者の期待に応えるには


保護者の皆さんは、何かしらの教育的期待を寄せて白藍塾に子どもを入会させています。保護者の皆さんから、受講後のアンケートで高評価を得るには、その期待に応えなくてはなりません。


紹介したアンケートの「声」をお読みいただくとわかるとおり、入会前の保護者の期待とは、作文力の向上、苦手意識の払しょく、文章を書く習慣づけのいずれか、あるいは全てを実現してもらうことです。それらの期待に応えるには、子どものモチベーション維持に気を配りつつ指導にあたる必要があります。子どものモチベーションを保つため、私たちが特に大切と考える二つの心配りを紹介しましょう。

 


良い点を見つける


白藍塾の会員には、作文を得意と思っている子もいれば苦手と思っている子もいます。ただ、苦手と思っている子の作文の中にも、かなり出来のよいものや、難はあっても想像力に長けている、言葉運びがリズミカルであるなど、何かしらの輝く点を持っているものもあります。そのような日の当らなかった作文から、良い点を見つけ、スポットライトを当てることは私たちに託された重要な仕事と考えています。


そうすることで、子どもは苦手意識を払しょくし、自信を持てるようになります。自信がつけば、もっと上手になろう、他の長所も身につけようと、向上心も湧いてくるでしょう。

 


子どもの書いたことを尊重する


 言うまでもなく、指導は褒めるばかりでなく改善すべき点はしっかり伝えなくてはいけません。ただ、注意したいのは、指導者の価値観やセンスに合わないからといって子どもの書いた内容を否定しないことです。子どもなので時には不道徳なことや支離滅裂なことを書くこともあります。そういった内容も全否定するのではなく、できるかぎり書いた内容をもとに、さらによくするためのアドバイスをするように心がけなくてはいけません。ふざけて書いたようでいて、実は子どもなりに一生懸命考えてひねり出したアイデアかもしれません。不得意な子の場合には、他にアイデアが浮かばずに怒られるのを承知で恐る恐る書いた内容かもしれないのです。なんとか書いて提出してきたその努力の結晶を頭ごなしに否定するのではなく、書いた内容からうまく発展させられる要素を探し出し、改善のためのアドバイスをすることが大切です。


そうすれば、子どもは指導者を信頼し、アドバイスをしっかり受け止めてくれるでしょう。指導者を信頼する気持ちが生まれれば、また作文を書こうという気持ちにもなります。そして今度は先生に褒めてもらおうと、向上心も湧いてくるでしょう。

 

(2011.8.27)


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