白藍塾樋口裕一の小論文・作文通信指導

【自宅学習応援!ページ】家庭でできる楽しい作文遊び(小学生対象)

 

『変わる入試に強くなる小3までに伸ばしたい「作文力」』
(樋口裕一著・青春出版社・p157~167)

第6章 家庭でできる作文遊び ―やる気とアイデアを引き出す親の習慣

作文は遊びの延長
 作文は楽しいものです。作文を勉強と考えて、いやいやながら取り組むべきものではありません。作文を遊びの延長と考えてほしいのです。同時に、日常の遊びを作文に結び付けてほしいと思います。
 日常の遊びの中に作文の力を伸ばす機会はたくさんあります。そうした遊びをしながら、語彙を増やし、発想力を豊かにし、語りたいという意欲を刺激し、遊びの延長として作文を書いてほしいのです。
 そのためには、いくつもの方法があります。ぜひ、保護者の方がこれらの方法を上手に使って、子どもに自然に作文に対する意欲を高めてほしいものです。

しりとり
 子どもたちはしりとりが好きです。作文の練習にもしりとりが有効です。
 もちろん、ふつうのしりとりでも語彙力が増しますが、ちょっと工夫をすることによって、もっとおもしろく、もっと力のつくものにできます。
 ふつう、子どもたちのするしりとりは、「リス→スイカ→カボチャ→ヤキイモ→モモ→モチ」などと進んでいきます。
もっと頭を使うために、少し制限をつけてみてはどうでしょう。少し難しくなりますので、それほど長くは続かないと思いますが、語彙力を驚異的に伸ばすでしょう。
 たとえば、「いきもの」しか答えてはいけないとか、「日用品」しか答えてはいけないなどとするのです。
 もっと高度なのは、重ね言葉のしりとりをすることです。ただし、実はこれは厳密な意味でのしりとりではありません。重ね言葉は数がそれほど多くありませんし、「どんどん」「かんかん」など「ん」のつく言葉が多いために、一般的に言うしりとりは成り立たないのです。少し、趣向を変えて、「く」のつく重ね言葉をお互いにどのくらいの数を言えるかを競い合ったりします。
「くるくる・くらくら・くすくす・くさくさ・くたくた・くりくり・くんくん」などと言いあうのです。
 ただ、この遊びをすると、どうしても、無理やりの言葉が出てきます。たとえば、「くみくみ」という言葉があるかどうかといったことが問題になるのです。その場合には、判定者が必要でしょうし、判定が曖昧になってしまうことがあるでしょう。しかし、それもまたコミュニケーションが広まる機会です。ときどき、このようなあそびをしてみてはどうでしょう。

なぞなぞ
 なぞなぞも言葉に関心を持たせるいい方法です。
 なぞなぞといっても、とんちをきかせる必要はありません。ごく普通の、「これなあに」という問いでよいのです。
「家にあって、汚れたものを突っ込んで、きれいにしてくれるものなあに?」というようなものでもよいでしょう。また、もうすこしひねって、「甘くて、焼くとおいしくて、たべるとおならがでやすくなるもの、なあに?」というような問題ですと、もっと楽しくなるかもしれません。
 初めのうちは、大人が問題を出して、子どもに答えさせます。子どもの年齢に応じて、やさしいものから難しいものにしていきます。そして、子どもが慣れてきたら、子どもに問題を出させます。
 もちろん、初めのうちは、何らかの形で出来損ないの問題になってしまうかもしれませんが、慣れるうちに良い問題を作れるようになるでしょう。そうすることで、語彙力も増しますし、説明する能力も増します。知識も増えていきます。

「なにをした?」遊び
 第2章でもお話しした通り、具体化と抽象化は思考の原点です。それを遊びに取り入れるのも能力を開発し、作文力を高めるうまい方法です。
 たとえば、「お母さんは、さっき、すごくおっちょこちょいなことをしました。何をしたと思う?」などと子どもに話を向けます。家族のうちの誰か、共通の知り合いの誰かを話題にするといいでしょう。最近の行動とは限りません。家族の昔の行動を例にとります。
「そのとき、おじいちゃんは家の中でとんでもないことをしたのよ。何だと思う?」などと話を向けます。「手に電話機を持っていた」とか「テレビで怖いドラマを見たあとだった」などとヒントを出します。そして、行動を当てさせるのです。
 テレビドラマに話題を広げてもかまいません。小説の内容に広げてもいいでしょう。おもしろい話題を見つけて、それを子どもに空想させます。「この小説の主人公はすごいことを思いつくんだよ。何だと思う?」などという要領です。
 もちろん、正解を出すことが目的ではありません。あれこれ推理し、空想して、つじつまの合う話を見つけ出していく手順こそが大事なのです。
 

「別の話」遊び
 子どもたちはテレビのアニメ番組が好きです。親も一緒に見ながら、楽しみながら作文の力をつけることができます。
 もっとも簡単なのは、「これからどうなると思う?」と尋ねてみることです。お母さんが一緒に見ながら、「私はこれからこうなると思うんだけどなあ」などと水を向けてみます。時にわざと突飛な予想をしてみるのもいいでしょう。そうすると、お子さんはそれに反対します。あとになってお母さんの予想が間違っているとわかった時、話の糸口になります。
 ただしもちろんあまりに突飛な予想を繰り返していると、信用をなくしてしまいますので、その点は加減する必要があります。
 もし、子どもの予想が当たった時には大げさにほめてもいいでしょう。予想が間違っていたときにも、「○○ちゃんの言ってたほうがおもしろいのにね」などとフォローするといいでしょう。 そして、もしそれが本当におもしろいものでしたら、「続きを自分で書いてみたら?」というように作文にまとめるように勧めます。

つぎたし話
 子どもにいきなり、「物語を作ってごらん」と言っても、なかなか難しいでしょう。しかし、何人かでお話をつくっていくのでしたら、それほど難しくありません。
 何人かでつぎたし話によって話を作るのは、作文の練習にとても有効です。
 たとえば、四人くらいで、リレー形式でお話をつくります。両親と子ども二人でやってもいいですし、友達とやってもいいと思います。楽しみながらできるはずです。
 慣れてきたら自由にしてもよいのですが、初めのうちは、「ホップ・ステップ・ジャンプ・着地」の役割を決めて、話を作ると、簡単にできるでしょう。
 まず「ホップ」の役割の人が、物語の発端を作ります。
 次に、「ステップ」役の人が、発端を引き継いで話を進めます。
 こうして、「ジャンプ」の役の人が話を大きく発展させ、クライマックスに話を結びつけます。
 そして、「着地」の人がなんとか解決させます。
 それぞれの役割を交代して、また別の話を作ります。それを何度か繰り返します。時には、条件をつけて、話を作るのもよいでしょう。たとえば、「ステップ」役の人の話が終わったら、「ジャンプ」の役の人に、「七転び八起きということわざを必ず入れること」「ここにある新聞からなんでもいいから一つネタを使うこと」などの条件をつければ、知識を活用する練習になります。「友達とのエピソードを必ず入れること」「過去の失敗談か手柄話を入れること」などの条件をつければ体験を活用する練習になるでしょう。
 もちろん、整合性のある話を作るのは大変です。大人であっても、なかなか、おもしろくて整理された話を作るのは難しいでしょう。しかし、何度か話を作っているうちに、おもしろい話が生まれます。それで十分です。そして、話を作っている途中、自分の作った話がほかの人の中で変更され、思わぬ方向に行くのを知って、そのおもしろさを感じたり、自分だったらこうするのにという不満を感じたりします。そのような過程が大切なのです。そうすることで、子どもたちは様々な力をつけていきます。

※本記事は、青春出版社より特別の許可をいただき、樋口裕一著『変わる入試に強くなる小3までに伸ばしたい「作文力」』より転載しました。本記事の一部または全部を無断転載、複製、複写(コピー)、翻訳することを固く禁じます。

カテゴリー

アーカイブ

カテゴリー