第8話 志望者の少ない入試枠の対策もお任せください
ときには1人のために
“慶応対策の白藍塾”と言われるように、大学入試講座では、昔も今も、慶応大学の小論文対策に最も力を注いでいます。そして、慶応大学を目指す受講生が一番多く在籍し、合格者の大学別の数では慶応大学が最も多いのも事実です。そのため、ときどき、「私は○○大学志望ですが対策をとってくれるのでしょうか」という問い合わせをもらいます。
実は白藍塾には、もう一つの秘かな(?)評判があります。それは「志望者の少ない入試枠の対策もできる塾」というものです。どこへ行っても自分の志望校の対策をやってくれる教育機関がなく、やっと辿り着いたのが白藍塾という受講生が結構います。高校生ももちろんいますが、社会人の方に多いようです。
90年代後半から数年間、社会人入試がブームと言えるほどの盛り上がりを見せました。ただブームと言っても各大学の募集枠は数名程度でした。そのため、白藍塾に入会する社会人の方の志望校もほとんど重なることがなくバラバラでした。社会人入試を目指す多くの方が、駆け込み寺のごとく白藍塾の門をたたいてくれたので、その期待に応えようと服部守史、大場秀浩を中心とする講師陣もがんばりました。「志望者の少ない入試枠の対応」で評判を得るようになったのも、様々な社会人入試志望者の対応を長年どうにかこうにかやってきたおかげでしょう。
過去問題指導をする資格
一般入試の場合には、慶応各学部といくつかの国立大学をタイプ別に分ければ、かなりの大学の対策はカバーできますが、社会人入試の場合には、いくつかの学部と専門職大学院をタイプ別に分けてはみるものの、全ての受講者の志望校をカバーすることはできません。近年、看護系の大学・専門学校を目指す社会人受講者が増えていますが、同じ看護系でも、学校によって様々な出題パターンがあります。だから、社会人の方には出題形式に馴れる意味も含めて、過去問題をやることを講師から勧めることも多いようです。
ただ、過去問題の場合に、塾が作った解説・模範解答を答案の横に置いて指導することができません。したがって講師は、課題のねらいを1人で見極めて、そのうえで赤ペンを入れなくてはなりません。つまり、答案の欠点を見極める力に加え、課題のねらいを確実に捉える力を必要とされるのです。
社会人入試対策に過去問題指導はつきもの
90年代後半からの社会人入試ブームの中で、いくつかの社会人入試予備校が世に知られるようになりました。しかし、全てとは言わないまでも多くは指導力に問題があり、宣伝文句とは裏腹に一人ひとりの志望校対策は指導できていなかったようです。
過去問題などの個別対策には講師の力量が必要です。力のない指導者に安易に過去問題指導を任せるのは危険です。誤った指導をしても、誰にも指摘を受けない可能性が高いからです。指導された受験生はたまったものではありません。過去問題の解答を理解しないまま受験の日を迎えれば、それは合否結果にも影響が出るでしょう。過去問題指導とはそれだけ緊張を要する仕事なのです。
当塾講師も過去問題指導を楽々こなしているわけではありません。課題内容が自分の持ち合わせている知識で太刀打ちできないときには、参考文献を読み、他の講師にアドバイスを請うこともあります。一通の添削に半日近い時間を費やすこともあるのです。この点で最も苦労しているのは、長年社会人コース(現・社会人・編入・大学院コース)指導の中核を担っている服部守史でしょう。
服部に過去問題指導で現在苦労している点を尋ねたところ、最近は出題パターンのバリエーションが多く、その対応、特に基本の型の応用を指導するのに骨を折っているそうです。例えば対策を書く問題などの場合には、単にイエス・ノーを主張するだけでなく展開部の書き方に工夫が必要なのですが、なかなか杓子定規の書き方から抜け出せない受講生が多いとのことです。
1回のアドバイスでわからなくても、くり返しくり返し改善点を指導する、粘り強い指導が服部の持ち味です。その指導の甲斐があって、服部には毎年多くの社会人受講生から、合格の報告とともに感謝の「声」が集まります。
ときには断ることもある
「せっかく白藍塾を頼ってきてくれたのだから、できるかぎり受け入れたい」。そう思い、多くの大学・学部の志望者を受け入れています。ただ、どうしても過去の出題内容が専門的すぎた場合には指導が難しいと判断することもあります。そのときには、正直にこちらの事情を伝え、入会をご遠慮いただくようにしています。それでもなんとか指導してほしいと頼まれた場合には、「専門内容には言及できない。論理のズレなどを指摘するだけに留まる」というように、限定付きの指導になることを了解してもらったうえで入会していただくことにしています。
指導実績のない大学・大学院を志望する入会希望者には、まず過去問題を提示してもらい、それを講師陣が確認したうえで、指導できるのかできないのか、限定付きの指導ならば受け入れ可能かどうかを判断します。
1人のための対策が大きく発展することもある
志望者の少ない入試枠を目指す1人の受講生の指導がうまくいき、それが何かしらのかたちで別の受験生に伝わり、翌年も同じ入試枠を目指す方が入会してくることがあります。社会人コースでは、酪農学園大学や愛媛大学などの地方の大学の社会人入試を目指す方が毎年続いていた時期がありました。
ここ数年は、高校生も含めてですが、獣医学部を目指す受験生が続けて入会しています。おそらく獣医学部合格者の入試対策情報をどこかで入手し、そこに白藍塾入会の決め手となる言葉でも見つけたのでしょう。こういった期待に応えるべく、数年前から獣医学部向けのオリジナル課題を志望校対策課題のラインナップに組み込んでいます。
また、先に触れたように、看護系の大学・専門学校を目指す社会人の入会者が年々増えています。以前は高校生のほうが多かったのですが、最近は社会人の数が高校生のそれを上回っています。こちらもおそらく過去の受講者の体験談などにどこかで触れて集まってくれたのでしょう。ありがたいことです。看護系の大学・専門学校の指導については、志望者が一定数を超えたこともあり、2年前より、看護・医療系コースを新たに設け、その中で、より看護系対策に特化した指導を行っています。
志望者の少ない入試枠の指導は、ニーズに応じて次のように指導態勢を変えています。
①過去問題指導を中心とした個別対策をとる
②その入試枠向けのオリジナル対策問題を選択課題に組み込む
③講座として独立させて、専門に特化した指導態勢を用意する
もちろん白藍塾では、いずれの段階においても、一人ひとりの要望にきめ細かく、ていねいに応えるようにしています。
(2009.8.30)
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