第25話:入試対策講座をいかに切り盛りするか
入試日が仕上がり期限
白藍塾の通信講座は、入試対策用のものとそうでないものに分けられます。前者の代表格が大学入試用講座「小論文指導ゼミナール白藍塾」です。他に、白藍塾小学生作文教室の中にある中学入試作文コースがこれに相当します。入試対策講座のねらいは言うまでもなく志望校合格の力をつけることです。
そしてその力を試験日までにつけなくてはなりません。受講期間が6か月であろうと10か月であろうと仕上げの期限は決まっているのです。「様々な学習期間で、様々な実力の受講生を、様々な志望校合格に向けて指導する」。これが入試対策講座です。
今回は、この入試対策講座を白藍塾がいかに切り盛りしているかを紹介しましょう。
受講スケジュールは柔軟に
白藍塾の通信講座は、決められたスケジュールに従って答案を提出する指定スケジュール制で受講します。そのほうが学習リズムを作りやすいからです。入試対策講座も例外ではありません。
ただ、大学入試講座の場合に、どの入試枠で受験するかによって、受講スケジュールが大きく変わります。大学院入試までを含めると8月あたりから3月中旬まで、入試日は散らばっています。そこで、全6コースのうち4コースは、受講の前半を指定スケジュール、後半は、各自の試験日程に合わせて自由にスケジュールが組めるフリースケジュール制を導入しています。ある時期に受講後半の課題をまとめて送るので、試験日までの残りの日数次第では、前回答案を待たずに提出することや、2回分いっしょに提出するまとめ出しも可能になります。
フリースケジュールの期間も、「目安のスケジュール」を示すようにしています。早めに試験の場合とそうでない場合に分けて示します。この目安を参考にすることで、フリースケジュール期間でも、どうペースを刻むとよいかが見えて、学習の計画を立てやすくなります。このように、柔軟なスケジュール作りをしながらも、受講生が学習ペースを乱さないように工夫することも、入試対策講座では欠かせません。
基礎課題は外さない
白藍塾では、試験日までの期間がどんなに短くなろうとも、「基礎→志望校対策」という講座の流れは崩しません。前半は基礎問題に取り組み、小論文とは何かを知り、基本構成の徹底マスターに力を注ぎます。参考書やテキストを読んで頭で理解したことがきちんと文章にできるかを確かめるわけですが、たいていは上手くいきません。そのことを、添削指導を通じて知り、どう改善するとよいのかを学習します。その過程を経ることで、基礎を本当の意味で理解できます。
気ばかりが焦って、初回から難問や志望校の過去問題を書きたがる人がいますが、あまり勧められません。どれほど時間がなかろうとも、土台をしっかり築かないと力を伸ばせないからです。基礎力なしに志望校の過去問題に取り組むことは、単なる問題体験でしかなく、発展的な学習にはならないでしょう。
志望校に合わせた指導
受講の後半は志望対策課題に取り組みます。同じコース内でも、個々に志望校が異なりますので、課題は選択式になります。多くの大学の出題傾向を考慮して選択課題を用意していますが、そこに自分の志望校に合った課題がない場合には、過去問題や特別課題に振り替えることもできます。
この段階で指導者が意識しなくてはならないのは、個々の受講生の志望校が何を求めているのかを知ることです。大学、学部ごとに、小論文試験で求めるものは異なるのです。それを知る最大の手掛かりは、志望校の過去問題です。過去問題を眺めながら出題傾向を分析します。そこから、志望校が何を求めているかを把握し、指導に活かします。ここが腕の見せ所です。たとえば、慶応の経済学部では、ここ数年出題形式に揺れが見られます。ただ、「現代社会への関心の高さ、問題点を的確に捉える知識や判断力を見ている」という点が変わらないことは、数年分の問題を分析するとわかります。この点を理解したうえで指導をするかどうかが、受講生を合格に押し上げる力の差となって表れます。
効率的に知識を伝授
基礎課題と志望校対策課題の添削指導をしっかりモノにできれば、志望校合格の実力を備えることができるでしょう。しかし入試対策はそれだけでは十分と言えません。どのようなテーマが出題されても対応できるように、なるべくたくさんの知識を補充しておく必要があります。先ほど紹介した慶応の経済学部では、2008年度は動物園の経営、2009年度は年功制の是非、2010年度は汚染物質の排出量取引がテーマでした。現代社会に関して広い知識を得ておかないと、これら全ての課題には対応できません。
しかし、試験日という期限までに、独学で広い知識を得るのは大変です。そこで、白藍塾は「知識を増やそう」という知識ネタ集や学部別の推薦図書を紙上講義で紹介することにしています。
入試対策講座では、膨大な学習内容を絞り込んで伝えると言った、学習の効率化を図る指導も欠かせないのです。
タイミングや状況を考慮したアドバイス
入試対策講座では、その時々の状況に合わせた添削指導が必要です。基礎ができたと判断したときには、そこで指導のギアチェンジを行い、より高度なアドバイスを送ります。 また、受講生がスランプに陥っているとしたら、復習のやり方などをアドバイスして、スランプから脱出できるように手を差し伸べる必要があります。たとえば、最終回の答案の出来があまり良くなかった場合などは、その受講生が力をつけてきた経緯を説明し、自信を持たせます。そのうえで、さらに試験日までに何をすべきかをアドバイスします。そうすることで、受講生の学習意欲は再度高まり、試験日までもうひとがんばりできるようになるのです。
入試対策講座では、受講生のその時々の状況に応じて、適切なアドバイスを送ることもとても大切なことなのです。
(2011.2.5)
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