総合型選抜と学校推薦型選抜の違い
総合型選抜と学校推薦型選抜は、共通テストを課す大学を除き、ほとんどは年内に選考が行われ、合否も決まる。そのため「年内入試」とも呼ばれている。共に年内入試であるために、両選抜は同じ入試と扱われることも多い。確かに共通点も多いので全く異なる入試と捉えなくてもよい。とはいえ、違いはある。

総合型選抜 | 学校推薦型選抜 | |
出願開始 | 9/1以降 | 11/1以降 |
合格発表 | 11/1以降 | 12/1以降 |
出願資格 | ない場合が多い | ある |
学校長の推薦 | 不要 | 必要 |
選考のねらい | 選び出し | ふるい落とし |
出願書類の分量 | 多めの場合が多い | 少なめの場合が多い |
面接の時間 | 長い | 短い |
選考日程
総合型選抜は9月から出願が始まる。選考を経て、合格発表は11月1日以降となる。学校推薦型選抜は11月から出願開始となる。選考を経て12月1日以降に合格発表だ。つまり、総合型選抜が先に行われ、学校推薦型選抜が後に続く。一つの大学に何度もチャレンジするとしたら、まずは総合型選抜を受けて、結果次第で、学校推薦型選抜にも出願する流れになる。
出願資格
総合型選抜は、国公立大を中心に一部の大学では設けているものの、多くの場合、出願資格に成績基準を設けていない。受験の意思があり、大学入学資格を有する見込みのある人ならば、学校の成績に関係なく出願できる。対して学校推薦型選抜は出願資格に成績基準を設けている場合が多い。「全体の学習成績の状況が3.5以上の者」などのように定められていて、それを上回る人のみが出願できる。
選考のねらい
総合型選抜、学校推薦型選抜はともに、志望大学・学科・学科で学ぶのにふさわしい資質と意欲を持っているかを審査する。ペーパーテストの合計点のみで合否を判定する一般選抜とこの点が違う。とはいえ、学力を全く見ないわけではない。大学入学共通テスト、または小論文、口頭試問、実技、科目に係るテスト、資格・検定試験の成績のうち1つ以上を課し、基礎学力をみる。つまり、「資質・意欲+基礎学力」で合否を判定するのが総合・学校推薦型選抜である。選考方法は、両選抜とも「書類審査+面接」「書類審査+小論文+面接」で実施するのが主流だ。
両選抜のねらいは「選び出し」と「ふるい落とし」という言葉で表現できる。
総合型選抜は、大学・学部・学科の求める学生像とマッチングのよい資質・意欲を持った受験生を積極的に選び出すのがねらいと言える。
学校推薦型選抜では、学習成績の状況が出願条件であることからも、真面目にコツコツと勉強に取り組み、基礎学力を備えている受験生を迎え入れたいとの思いが前提にある。そのうえで、大学・学部・学科の求める学生像とマッチングも審査し、相性のよくない受験生をふるい落とすことをねらいとした選抜と言えよう。
書類審査
書類審査の対象となる出願書類には、調査書や推薦書、各種大会の賞状や資格・検定の証明書などのように学校や各種団体などの第三者に作成してもらうものと、志望理由書、自己推薦書、活動報告書、探究的な学習の成果報告書、課題レポートなどのように受験生自身が作成するものがある。
総合型選抜は、自ら作成する書類が複数あり、それぞれの書類の字数も長めに設定されている場合が多い。ひとつの書類を仕上げるまでに結構な時間がかかるものだ。そのため計画的に準備を進める必要がある。
学校推薦型選抜の場合には、自ら作成する書類は志望理由書など1通のみの場合が多く、字数も少なめなのが一般的だ。とはいっても、侮ってはいけない。字数が少ないと内容も薄くなりがちだ。内容を深めるためにも600~800字程度の長さのものをいったん書いて、それを短くまとめる二段仕込みで仕上げることをすすめたい。
面接
面接は費やす時間の長さに差がある。総合型選抜は長い。30分程度を費やす場合が多く、面接とともに、プレゼンテーションやディスカッションの審査を含む場合もある。出願時に提出した書類を「台本」にして、しっかり準備をして臨みたい。
学校推薦型選抜の場合は、短く、10分程度の場合が多い。恥ずかしがっていてはあっという間に終わってしまう。短い面接では、訴えどころと大学から出題予告をされている内容については確実に回答できるようにしておくことが大事だ。
加えて言っておくと、両選抜とも、基礎学力をみるねらいから、面接に口頭試問が含まれることが多いので、この点も準備を怠らないようにしよう。
小論文
小論文は総合型選抜と学校推薦型選抜の出題傾向に大きな差はない。ゆえに、どちらか片方の入試を受ける場合も両選抜の過去問題に目を通しておくことをすすめたい。同じ傾向の問題を出題している可能性が高いので、両方の過去問題に取り組めば、それだけ多く実践トレーニングを積めるからだ。出題形式はテーマ型、文章読解型、図表など資料読解型などがある。主たる問題の解答は、是非を問う基本型小論文か、対策やアイデアをまとめる提言型小論文の型にしたがえばまとめられるだろう。過去問題を入手してなるべく早めに出題傾向を把握するようにしてほしい。
ひとつ注意しておくと、総合型選抜の出願書類に課題レポートが含まれることがあるが、それは多くの場合、小論文を書かせる課題だ。つまり、総合型選抜では「書類審査の課題として小論文が含まれている場合もある」と理解しておくとよいだろう。
(和田圭史)