文章教育コラム

減点されないための
書き方の基本ルール

 11月になると、学校推薦型選抜の出願が開始され、小論文を中心とした試験も行われる。
 試験本番に向けて、大詰めの学習をしている高校生も多いことだろう。高得点を取るために、過去問題を分析し、知識ネタを吸収し、多くの小論文を書く。そういった努力を怠ってはいけない。しかし、それと同時に、減点されないための心がけも必要だ。これから紹介する書き方の基本ルール①~⑩を知っておくだけで、つまらない減点を確実に防げる。

減点されないための書き方の基本ルール

書き方の基本ルール①常体(「だ・である」調)を使う

小論文は基本的に「常体」を使う。「敬体」(「です・ます」調)は使わない。

書き慣れない人が書くと、途中から「敬体」が交じりがちだが、そんな文章を書くと大きな減点をされてしまうので注意しよう。

書き方の基本ルール②話し言葉を使わない

話し言葉を使わない。「しているけど」「することなんて」「なんだから」などは話し言葉なので、使ってはいけない。

次の悪い例には話し言葉が詰まっている。正しい例と比較して、注意しよう。

×悪い例

体罰を受けておとなしくなる子どもだっている。でも、それは暴力を恐れて言うことを聞いてるだけで、理性で理解してるわけじゃない。なので、体罰は認めないべきだ。

〇良い例

体罰を受けておとなしくなる子どももいる。しかし、それは暴力を恐れて言うことを聞いているだけで、理性で理解しているわけではない。したがって、体罰は認めるべきではない。

書き方の基本ルール③自分のことは「私」と呼ぶ

自分を呼ぶときには、男女問わず「私」という言葉を使うのが原則。「僕」「おれ」などという表現は使わない。また、英語の「myself」を示すような場合を除いて、「自分」という言い方も使うべきではない。

書き方の基本ルール④弁解がましくしない

妙に弁解がましくて、「私はこれまでこの問題について考えたことがなかったので、よくわからないが」とか、「私のような若者に偉そうなことはいえないが」などと書く人がいる。

そうした文章を書かないようにしよう。たとえ心の中では自信がなくても、堂々と断定して、その根拠をきちんと説明するのが、小論文だ。

書き方の基本ルール⑤偉そうに書かない

ときどき、「そのような日本の状況はあまりに愚かである」「そのようなマスコミのデタラメを信じ込んでいる人があまりに多いのは情けない」などと、まるで自分がすべてを理解しているかのように上から目線で書く受験生がいる。

しかし、小論文はあくまで論理で読み手を説得するべきもので、「愚か」「情けない」などとお説教をするものではない。それに、あまりにも偉そうに書くと、採点者は不快に思ってしまうことも多いものだ。

むやみに謙虚になる必要はないが、しっかりと自分の判断を示し、そのうえでその根拠を客観的に書くことを心がけよう。

書き方の基本ルール⑥感情的にならない

「かわいそう」「情けない」「悲しい」などというような表現は小論文にふさわしくない。小論文は、感情で判断するものではないからだ。

「これはいいことだ。なぜなら、そのためにこのようなことが起こっているからだ」などというように事実を組み立てて判断するのが小論文の理想だ。

書き方の基本ルール⑦「思う」を多用しない

ほとんどの文末を「思う」で終わらせる人がいる。「……と思う。……と思う。」などと続けたりする。

しかし、小論文は、思っていることや感じていることを書くものではない。したがって、「思う」を多用するのはNGと考えておこう。どうしても「思う」を多用したくなったら、「考える」と改めるようにするとよい。そうすることで、感情的な判断ではなく、思考の結果とみなすことができる。

書き方の基本ルール⑧修辞疑問文を使わない

第1部の「問題提起」の部分で「……だろうか」と通常の疑問文を書くのはよい。

しかし、それ以外の部分で「……ではないだろうか」「……するべきではないだろうか」などの修辞疑問文を使うのは好ましいことではない。

小論文というのは、きちんと根拠を示して、自分の判断を断定するものだ。

それなのに、問題提起の部分以外で「……だろうか」と書いたら、自分で判断しないで読み手に判断をゆだねたことになってしまう。それでは、曖昧で自信のない印象を与えてしまう。

疑問文を使うのは問題提起だけにとどめて、その他の部分は、「……だ」「……するべきだ」などのように断定するほうがよい。

書き方の基本ルール⑨倒置、呼びかけを使わない

「想像してほしい、現代日本の農業の悲惨な状況を。」などといった文体を小論文では使うべきではない。

まず「想像してほしい」などといった呼びかけは好ましくない。また、「現代日本の農業の悲惨な状況を」というような倒置形も小論文らしくない。

×悪い例

想像してほしい、現代日本の農業の悲惨な状況を。

この文は、主語・述語の順ではなく、倒置されて、主語の部分が後ろについている。小論文を書くときは、このような倒置形は使わず、呼びかけも行わずに、次のように書く。

〇修正例

現代日本の農業は、悲惨な状況に置かれている。

書き方の基本ルール⑩会話を使わない

ときどき、カギカッコを使って、人々の会話を小論文に書く人がいるが、それも小論文らしくない。

倒置や呼びかけ、会話は、エッセイや作文で用いられる文体で、小論文では使わない。

×悪い例

このごろ、「昔に比べて暑くなったなあ」という声を聞く。「温暖化のせいだ」というのが一般的のようだ。「いや、そんなことはない」と言う人もいる。

○良い例

近年、平均気温の上昇が問題になっている。地球温暖化が原因だと言われる。それには反対意見もある。

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